アメリカ人小説家、著作家、劇作家、詩人、随筆家であり公民権運動家、ジェイムズ・ボールドウィン（James Baldwin）に関する作品集。本書は2024年7月から2025年4月までワシントン D.C.の「国立肖像画美術館（National Portrait Gallery）」で開催されている展覧会に伴い刊行された。

作者は、作品を通してアメリカとその歴史に対する見解に異議を唱え、自らを「証人」であると考えていた。志を同じくする他の芸術家、協力者、組織に携わる者たちが影をひそめ、あるいは沈黙しているとき、作者はしばしば正義に反することへと声を上げたことで知られる。

作者を描いた作品と、その人生に影響を与えた重要人物たちのポートレイトを並べることで、本書はその人生と遺産を形づくる上で、とりわけ同性愛者の権利擁護との関係において、重要な役割を果たした文化の担い手たちの中に作者を位置づける。

アメリカ人モダニスト画家のビューフォード・デラニー（Beauford Delaney）とバーナード・ゴットフリード（Bernard Gotfryd）による作者のポートレイトはよく知られているが、それらが作者の周囲で活動をしていた重要人物を描いた絵画、写真、映画とともに展示されている。このように作者をコミュニティの文脈の中で見ることで、鑑賞者は、そのセクシュアリティと信仰、芸術的好奇心、男らしさの観念が、公民権運動への参加と相まって作者の著作と長く遺るものを形成することにどのように役立ったかを理解するだろう。

本書は、作者、ロレイン・ハンズベリ（Lorraine Hansberry / 作家、活動家）、バーバラ・ジョーダン（Barbara Jordan / 弁護士、教育者、政治家）、バイヤード・ラスティン（Bayard Rustin / 社会運動指導者）、ライル・アシュトン・ハリス（Lyle Ashton Harris / 芸術家）、エセックス・ヘムフィル（Essex Hemphill / 詩人、活動家）、マーロン・リッグス（Marlon Riggs / 映画監督、詩人、活動家）、ニーナ・シモン（Nina Simone / シンガーソングライター、詩人、活動家）らが織り成す人生を、ポートレイトに沿って探る。

アーティスト：リチャード・アヴェドン（Richard Avedon）、グレン・ライゴン（Glenn Ligon）、ドナルド・モフェット（Donald Moffet）、ボーフォード・デラニー（Beauford Delaney,）、バーナード・ゴットフリード、フェイス・リングゴールド（Faith Ringgold）、ローナ・シンプソン（Lorna Simpson）、ジャック・ウィッテン（Jack Whitten）