イギリス人アーティスト、ジョナサン・モンク（Jonathan Monk）のセラミック作品。作者がフランス・パリの老舗ギャラリー「イヴォン・ランベール（YVON LAMBERT）」で初めて展覧会を開催したのは1997年のことだった。その後2014年に閉廊するまで、ギャラリストのイヴォン・ランベール（Yvon Lambert）との協働は続いた。2000年代初頭のある時、ランベールは作者に定規を渡した。その上部にはイニシャル「SL」が刻印されており、曰く、遡ること20年前、アメリカ人アーティスト、ソル・ルウィット（Sol LeWitt）が自身の作品を展示した後に置いていったものだという。この30cmの定規が、本書の出発点である。このセラミック製定規はまっすぐではなく、数字も目盛りも入れられていない。イヴォン・ランベールから作者に贈られたオリジナルの定規と同じ形に作られた金型に、手作業で粘土を押し込んでいく、押出成形という製法が用いられている。本作は、1980年代にソル・ルウィットの陶板やタイルの制作に深く関わっていた、イタリア・デルータにある歴史の長い陶芸工房「ラ・ジョコンダ（La Gioconda）」で制作された。

アーティスト・エディションとして作られた100点のセラミック製定規を記録した同名の作品集も同様に制作されている。イタリア・スポレートのレジデンス兼ギャラリーであり、ソル・ルウィットが同スペースの最初の使用者であった「トッレ・ボノモ（Torre Bonomo）」で2024年6月から7月にかけて開催された展覧会に際し刊行され、100枚の定規の写真が収録されており、ぱらぱらとめくると定規が動き出す。