チリ人アーティストであるエンリケ・ラミレス(Enrique Ramirez)と、フランス人音楽家でありプログラマーのマティアス・ピュエシュ(Matthias Puech)による音楽作品。

ベルリンを拠点とする独立系出版社である「Ediciones Inauditas」と、同じくベルリンを拠点とする現代美術・言論活動の場として在る「Neuer Berlier Kunsverein (nbk)」とのコラボレーション・シリーズ「n.b.k. Records」の第6弾。同シリーズは様々なビジュアル・アーティストの作品をLPとして発表しており、それ自体が美術作品として作られている。

本作は6つのトラックで構成されており、2023年11月にフランスの「ルーヴル美術館ランス別館(Louvre-Lens Museum)」で開催された7時間にもおよぶパフォーマンス「MONDES PARTAGÉS. COMPOSITION N°4」から抜粋された作品を収録する。このアルバムには、複数のタイムラインと可能性が共存しているプロセスを結晶化しており、それを一つの直線的なシークエンスに抽出している。時間を流動的かつ拡張的に理解することを受け入れたライブでの一演奏を、同一のループ上で再生できうる一オブジェクトに変換するということが作られている。視覚的でありながら映画的な音の質を維持しながら、ライヴ・パフォーマンスは再構築され、一時的な儚さを別の形に置き換えている。我々はこのアルバムを、絶え間なく進化する風景写真のように感じ取ることができるだろう。無限の可能性を秘めたヴァリエーションのひとつになっていく過程を凍らせて固めたようなイメージなのである。

君は今、巨大で空っぽなガラス張りの部屋に立っている。物体は消え去り、ただ一つ残ったこの音が、耳には聴こえないが外や下に繁茂する植物のノイズと複雑に絡み合っている。生き物の一部であれ、無生物の一部であれ、すべての原子は電磁場に包まれている。すべてのものは本来、電気的なものである。静脈が体内の臓器や組織を繋ぎ、植物の維管束系が光合成を行う層を通して栄養分を運ぶように、ケーブルはある機械から別の機械へと電気信号を伝達する。地球上の歌と響き合うサウンドとシンセサイザーが織りなすこの庭には、自然と人工の間に境界線はない。ラミレスとピュエシュはこの壁を消し去った。彼らの言葉を借りるなれば、「我々は自然の音に魅了されているが、シンセサイザーを使ってそれを再現したかった。人間による最小限のインプットで生成することで。『パヴィヨン・ド・ヴェール(Pavillon de verre / ガラス館)』とその庭園の臨床的な人工性に触発され、我々はこの空間がガラスの箱、反転した水槽のようであり、風景の向こう側から演奏しているような逆説的な何かがあることに気づいた」。

実際のところ、シンセサイザーをベースとしたアルゴリズミックな音作りのアプローチは、時に造園に例えられる。種を選んで蒔き、環境を育て、条件を綿密に調整しながらも、最終的にはコントロールできないほど開花する。このプロセスは、「楽譜の唯一の創造者」として在るアーティストの役割を、「一連のルールやアルゴリズムに基づいて、無限に広がる産物が持つ多様性の中で芸術を生み出すシステムの創造者」へとシフトさせる。手作業で実現することが不可能な音楽の可能性を追求するために計算の力を活用するのだから、創造の可能性は広大である。この構造化された予測不可能性において、ある程度のコントロールが失われることは不可欠なパラメーターとなる。我々は、音楽に対し、静的な物体/直線的な創作プロセスの終着点とする概念から離れ、音楽は生きて呼吸する有機体であるという考え方に向かうのである。

- ヴァニーナ・サラチーノ(Vanina Saracino)のテキストより抜粋

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FROM THE OTHER SIDE OF A LANDSCAPE, 2024

2025

¥ 8,250 (税込)

チリ人アーティストであるエンリケ・ラミレス(Enrique Ramirez)と、フランス人音楽家でありプログラマーのマティアス・ピュエシュ(Matthias Puech)による音楽作品。

ベルリンを拠点とする独立系出版社である「Ediciones Inauditas」と、同じくベルリンを拠点とする現代美術・言論活動の場として在る「Neuer Berlier Kunsverein (nbk)」とのコラボレーション・シリーズ「n.b.k. Records」の第6弾。同シリーズは様々なビジュアル・アーティストの作品をLPとして発表しており、それ自体が美術作品として作られている。

本作は6つのトラックで構成されており、2023年11月にフランスの「ルーヴル美術館ランス別館(Louvre-Lens Museum)」で開催された7時間にもおよぶパフォーマンス「MONDES PARTAGÉS. COMPOSITION N°4」から抜粋された作品を収録する。このアルバムには、複数のタイムラインと可能性が共存しているプロセスを結晶化しており、それを一つの直線的なシークエンスに抽出している。時間を流動的かつ拡張的に理解することを受け入れたライブでの一演奏を、同一のループ上で再生できうる一オブジェクトに変換するということが作られている。視覚的でありながら映画的な音の質を維持しながら、ライヴ・パフォーマンスは再構築され、一時的な儚さを別の形に置き換えている。我々はこのアルバムを、絶え間なく進化する風景写真のように感じ取ることができるだろう。無限の可能性を秘めたヴァリエーションのひとつになっていく過程を凍らせて固めたようなイメージなのである。

君は今、巨大で空っぽなガラス張りの部屋に立っている。物体は消え去り、ただ一つ残ったこの音が、耳には聴こえないが外や下に繁茂する植物のノイズと複雑に絡み合っている。生き物の一部であれ、無生物の一部であれ、すべての原子は電磁場に包まれている。すべてのものは本来、電気的なものである。静脈が体内の臓器や組織を繋ぎ、植物の維管束系が光合成を行う層を通して栄養分を運ぶように、ケーブルはある機械から別の機械へと電気信号を伝達する。地球上の歌と響き合うサウンドとシンセサイザーが織りなすこの庭には、自然と人工の間に境界線はない。ラミレスとピュエシュはこの壁を消し去った。彼らの言葉を借りるなれば、「我々は自然の音に魅了されているが、シンセサイザーを使ってそれを再現したかった。人間による最小限のインプットで生成することで。『パヴィヨン・ド・ヴェール(Pavillon de verre / ガラス館)』とその庭園の臨床的な人工性に触発され、我々はこの空間がガラスの箱、反転した水槽のようであり、風景の向こう側から演奏しているような逆説的な何かがあることに気づいた」。

実際のところ、シンセサイザーをベースとしたアルゴリズミックな音作りのアプローチは、時に造園に例えられる。種を選んで蒔き、環境を育て、条件を綿密に調整しながらも、最終的にはコントロールできないほど開花する。このプロセスは、「楽譜の唯一の創造者」として在るアーティストの役割を、「一連のルールやアルゴリズムに基づいて、無限に広がる産物が持つ多様性の中で芸術を生み出すシステムの創造者」へとシフトさせる。手作業で実現することが不可能な音楽の可能性を追求するために計算の力を活用するのだから、創造の可能性は広大である。この構造化された予測不可能性において、ある程度のコントロールが失われることは不可欠なパラメーターとなる。我々は、音楽に対し、静的な物体/直線的な創作プロセスの終着点とする概念から離れ、音楽は生きて呼吸する有機体であるという考え方に向かうのである。

- ヴァニーナ・サラチーノ(Vanina Saracino)のテキストより抜粋

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取り扱い twelvebooks
サイズ 31.5 x 31.2 x cm
重量 1.0kg
商品コード 1100042926
出版 EDICIONES INAUDITAS, EUER BERLINER KUNSTVEREIN (N.B.K.)
著者 Enrique Ramirez, Matthias Puech
ISBN 9789083375632
配送までの期間 ご注文確定後、2-7日以内
カテゴリー
送料 ¥770(税込)
購入条件