吉村宗浩は1961年生まれ。一般大学を卒業後、ふたたび美術の道を志し、武蔵野美術大学に改めて入学。その後、故郷の神戸市に戻り作家活動を続け、50歳頃にユーモアと哀愁がにじむ独特の画風を確立。このたび、兵庫県立美術館での「注目作家紹介プログラム チャンネル13 吉村宗浩 画家とアトリエ―メチエの修行場」展が開催されます(10月8日〜11月6日)。会期中、アトリエと化した会場で吉村が滞在制作を行うので、彼の創作の現場を垣間見ることができるでしょう。
ときに「流行とは無縁」と評される吉村の画風。たんに天邪鬼なだけと吉村は笑って話します。しかし、吉村の作品を観ていると、吉村が選ぶモチーフは日常にある現実的なもののためか、観ているうちにいつの間にか現実と非現実の分別が曖昧な境目の空間に連れていかれるような感覚を覚えます。これは綿密につくり込まれた構図や色彩から、その独特な世界が描かれているためかもしれません。吉村は、絵画は作家と鑑賞者のコミュニケーションのツールのひとつと考えています。そしてその対話の面白さは、絵画に描かれているのは単なる「かたち」でしかないのに、鑑賞者が何か「内容」を探そうとするところだ、と話します。吉村は、想像力を掻き立てられるような完璧な「仕掛け」をつくるため、形式的な美を追求し制作に向かいます。OIL by 美術手帖への出品作からも、吉村のこれまでの探求の軌跡に触れてみてください。
《スキー場の監視員たち》(2009-2022)
《おかっぱの令嬢》(2022)
《悲しみの星2》(2022)
《リビングルームの子どもたち》(2021)
《えくぼの少女》(2019-2020)
販売は2022年10月4日(火)12:00より開始いたします。
プロフィール
吉村宗浩
1961年兵庫県生まれ。武蔵野美術大学卒業後作家活動を続け、50歳頃自身のスタイルを確立。ザ・チョイス にて複数に渡り優秀賞を受賞。本の装丁、劇場ポスター等にも使用される。「ポップで可愛い暗くて怖い」 時代や場所を超越する、その虚構性・演劇性が持ち味。 主な個展に、「吉村宗浩展 〜雑居時代〜」(神戸元町 歩歩琳堂画廊、兵庫、2021)、「家具屋の息子」(櫻木画廊、東京、2021)、「UNREALISM」(GALLAYR NAO、東京、2020)など。
Information
チャンネル13「吉村宗浩 画家とアトリエ―メチエの修行場」
会期:2022年10月8日〜11月6日 |