高屋永遠による個展「桜時」が、AK-4 GALLERYにて開催されます(会期は3月27日から4月3日まで)。本展では、代表作である「桜のシリーズ」から25作を出展します。
2020年より制作を続けている「桜のシリーズ」は、これまで3度にわたって個展を行ってきました。そのたびに作風にも変化が生じており、各時期の作品にそれぞれ固有の魅力が備わっています。今回の展示会は、そうした異なる時期の「桜」が一堂に会する初めての機会となります。
当シリーズは、曖昧な存在感覚の探究を「桜」というモチーフに託す形で始められました。その探究は、作家の意識の変化を経て、徐々に外へと開かれていきます。そして淡く明るい色彩の試行を経て、生の肯定としての「Joy after all」へとたどり着きました。その変遷の過程と成果を、ぜひ会場でお確かめください。
本サイトでは、本展の作品の一部を販売いたします。
ステートメント
私たちの認識の領域、そして感じてはいるけれども言葉にはならない場所。その境界を行き来するなかで発見した概念や感覚を、ひとつずつ拾い集めるように思索しながら、身体を通してそれらを作品世界へと再構成する──これが私にとっての「絵画を描くこと」です。
この3年間、「薄紙を剥ぐように/ slowly but surely」「桜時/ Timelessness」「Joy after all / 花信風」という3つの個展を行いました。
主題としての桜との出会い、桜に宿る気配を捉えるための色彩の可能性の追求、そして、自他の境界あるいは接面としての線の再解釈。
桜というモチーフを中心に据えたことで、彼岸と此岸、記憶と忘却、個と他者、時間の移ろいといった概念たちが、私のなかで絵画表現の可能性の探究と結びつき、作品制作が発展していきました。
桜のシリーズは今の私にとって、「世界」と「私」についての理解を深め、「生きていること」についての信頼を養い、世界の捉え方を更新する営みに繋がっています。
最終的に導き出された「喜び」──それは、苦しみや悲しみをも含んだすべての先にある、超越的な情動のように思えます。
──高屋永遠
展示作品(一部)
Information
高屋永遠個展「桜時」
会期:2023年3月27日~4月3日 |