SOM GALLERYより、小見山峻の個展出品作をご紹介

現在、SOM GALLERYでは、小見山峻による個展「9876543210 (Nine to Zero)」が開催中(会期は5月14日まで)。会期にあわせ、オンラインでも出品作をご紹介いたします。会場に足を運ぶとともに、ぜひオンラインでもお楽しみください。

「9876543210 (Nine to Zero)」展展示会場より

 小見山は神奈川県横浜市生まれの写真家、アーティスト。「現実の出来事に対する視点を記録する」という写真の本質を突き詰め、コンピュータによる合成加工などに頼ることなく、グラフィカルな世界を表現。ストリートを映し出すことを出発点とし、これまで自身の周囲におけるリアリティを独自の視点で切り取ってきた小見山は、かつての東松照明や植田正治、森山大道らがそこに存在する空気やダイナミズムを切り取ったように、一貫して自らを取り巻く世界に存在する真実やその痕跡を重視して映し出しています。

 本展のテーマは、小見山が追求している「数字」。全世界で共通の意味を持ち、人間だけが認識しえる「数字」をモチーフに、数字が持つ寓意的な意味を探ります。古くから人類が他者との関わりを築く際に用いてきた「数字」は、現代においても同じく、数字は言葉が通じない状況でも意思を伝えるための記号であり、概念です。いっぽうで、記号は人々を縛り付けるという逆説的な意味を持ち合わせています。資本主義社会においても、記号として用いられることで価値を有していた数字が、ラベルとして意味づけされることで、本来持ち合わせている価値が埋没してしまうことに着目しました。

 また、複製性や印刷等の特性に目が向けられることで、現在の写真表現における写真の本質的価値や表現の希薄化を危惧する小見山。本展では、写真の存在を数字になぞらえて、写真が持つ本質的価値の再定義を試みます。街に存在する数多の記号(数字)を写真という行為で切り取り、内包する意味を昇華させ、新たな生命を宿す。小見山の考える現在の写真表現を体感してください。

 

 

《NTZ-015》(2023) 

 

《NTZ-014》(2023)

 

《NTZ-005》(2023)

 

 

 

 

SOM GALLERY

2023年1月に日本橋・馬喰横山にオープンしたコンテンポラリー・アートギャラリー。メディアに内在する本質への探究とその越境に挑戦する若手アーティストとともに、世代が持つ普遍的なモチーフやテーマをアートのフレームにアジャストさせたギャラリープログラムを展開する。取扱作家は、中瀬萌、三浦光雅、松田ハル、木津本麗、河野未彩、渡邊涼太、フカミエリ、小見山峻など。

 

 

編集部

Artist Profile

小見山峻(こみやま・しゅん)

1988年神奈川県生まれ。2014年より写真家として活動。「現実の出来事に対する視点を記録する」という写真の本質を突き詰め、コンピュータによる合成加工などに頼ることなく、グラフィカルな世界を建築する。つねに「写真」でありながら、そのアウトプットは多岐にわたる。18年「JWアンダーソン(JW Anderson)」による新進フォトグラファー発掘を目的としたキャンペーン、「ユア・ピクチャー/アワ・フューチャー(YOUR PICTURE/OUR FUTURE)」にて世界中の一般公募の中から日本人で唯一ファイナリストに選出される。penクリエイターアワード2018「今年新しい領域に踏み込んだ8人の冒険者」選出。主な個展に、「hemoglobin」(COMPLEX BOOST、東京、2018)、「一晩限りのオールナイト写真展『冴えない夜の処方箋 第二夜』」(MIDORI.so gallery、東京、2019)、「なにものでもないものたちの名づけかた/my beautiful tokyo」(MIDORI.so gallery、東京、2021)、「風が応える」(SHIBUYA PARCO、東京、2021)、「call, overhaul, and roll」(BOOK AND SONS、東京、2023)など。

Information

小見山峻個展「9876543210 (Nine to Zero)」

会期:2023年4月14日~5月14日
会場:SOM GALLERY
住所:東京都中央区日本橋横山町4-9 birth 5F
開館時間:12:00~20:00
休廊日:月、火
料金:無料