展覧会「人」
人物は、いつの時代も関心の高いモチーフであり、アーティストたちは、他人を知るために、あるいは自分自身を知るために人物画を描いてきました。現代において人物画は、スマートフォンやアプリによって加工を施しSNSに掲載されるポートレイト写真や、AIが生成した画像を指すとも言えるでしょう。
本展では、肖像画や人物画をそれぞれの方法で再構築している5名のアーティストを紹介します。現代において人物画を描くことは、その複雑で嘘に覆われた世界から、それぞれが自身の真実や現実に到達するための試みでもあります。会場に足をお運びいただくとともに、オンラインでもお楽しみください。
※作品は5月13日13時より公開
出展作家
豊田涼華
1996年三重県生まれ。2021年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画研究領域を修了。現在は茨城県を拠点に活動中。日常のふとした瞬間に目撃した人々やそれらを取り巻く状況を、写真やインターネットで偶然目にした画像や、自身の記憶をたよりに描き、自身にしか見えない奇妙な何かをとらえている。
《あの山は眠る》(2023)
古川諒子
1994年兵庫県生まれ。2020年広島市立大学芸術学部油絵専攻卒業、22年広島市立大学大学院芸術学研究科油絵研究博士前期課程修了。作品とタイトルの相互関係に着目し、タイトルの生成を起点に絵画を制作している。本展では、受験期に使用していた英単語帳を切り刻み、再構成した文章を絵画化している。
《人類のおとぎ話をする》(2022)
もりさこりさ
2003年東京都生まれ。2022年東京学館船橋高校美術工芸科卒業、多摩美術大学絵画学科油画専攻在籍。現実と並行する別世界の住人について描く。描写において具象と抽象の間を揺れ動くのはその情景の解像度が異なることを表している。
《今夜、私が主役でいい?》(2023)
佐藤絵莉香
1996年神奈川県生まれ。2020年武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻卒業、21年武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻油絵コース在籍。自身が見た景色、すれ違った物事、その時に起きた摩擦熱のようなものを起点にし、少しの寂しさとユーモアを織り交ぜて描く。
《Dark Horse》(2023)
倪力
1994年中国・上海生まれ。2022年多摩美術大学博士後期課程美術研究課修了。デジタル画像のような質感に、荒いタッチの筆を重ねることで、データ損耗や圧縮によるノイズや不気味なイメージの断片などを表している。
《untitled》(2023)
長亭GALLERY
長亭GALLERYは2020年7月に東京・東日本橋にオープン。株式会社FelisCatusが運営するギャラリー。 日本と中国のアーティスト、デザイナー、学生を招いて作品の展示や交流会を行う。アートを媒介にする多様な価値観を発信し、新たな社会性の創造、地域活性化や現地の住民、鑑賞者らのあいだでアートを媒介とした新しいコミュニケーションを生み出すことを目指す。 現代美術を中心に、絵画、デザイン、写真、工芸、幅広いジャンルの作家の個展や企画展、様々なイベントを開催する。
Information
「人」
豊田涼華、古川諒子、もりさこりさ、佐藤絵莉香、倪力 |