中西伶が初めて手掛ける立体作品をオンラインエントリー販売

中西伶による新作展「floweroflife.obj」を銀座 蔦屋書店と京都 蔦屋書店で2月17日より開催します(会期は3月15日まで)。本展開催にあわせてOIL by 美術手帖では、中西伶が初めて手掛ける立体作品と平面作品のオンラインエントリー販売を2月20日12時より行います(申込期間は3月15日18時まで)。

@padatk Charles Chauvet

 中西伶は、1994年三重県生まれ。2016年に渡米し、山口歴のアシスタントとして作品制作に携わる。2019年に帰国後、「GOLD WOOD ART WORKS」に所属。国内外で展示発表を続けています 。

 中西は、従来のペインティングの手法にプリンティングを組み合わせたプロセスで作品を制作しています。複雑にレイヤー化された作品はデジタルとアナログ、またグラフィックと絵画の領域を飽和させ、新たなテクスチャを帯びた平面作品です。

「floweroflife.obj」と題した新作展では、初めての試みとして、平面の「floweroflife」シリーズに3Dモデリングの技術を掛け合わせ、三次元の領域に展開したユニークピースを発表します。会期にあわせ、本サイトにて、立体作品と平面作品のオンラインエントリー販売を行います。中西が初めて手掛ける立体作品は、2023年時点で発表点数100点以上を数える「floweroflife」シリーズをベースに、3Dモデリングの技術を取り入れた本作は、中西自身が3Dデータを作成し、出力した作品に1点1点ユニークペイントを施すことで完成します。油絵の具特有のマチエールを残す本作品は、青(銀座 蔦屋書店)・赤(京都 蔦屋書店)各色限定4体ずつの展示・発表となります。オンラインエントリー販売は、2月20日12時より行います(申込期間は3月15日18時まで)。

 

中西伶「floweroflife.obj」をオンラインエントリー販売

 

HOW TO ENTRY

<オンラインエントリー販売 申込期間>
2月20日(火)12:00~3月15日(金)18:00

※申し込み期間は終了しました※

@padatk Charles Chauvet
@padatk Charles Chauvet

作品名|floweroflife.obj no.05-08 [Red]
価格|698,500円(税込)※箱代、送料込(海外発送は別途お見積り)
素材|アクリル樹脂、ウレタン樹脂、金属線、ウレタン塗料、油絵具
カラー|赤(京都 蔦屋書店展示)
サイズ|23.0×11.7×9.4㎝(立体作品)H33.5×W19.2×D2.0cm(平面作品)
制作年|2024
限定|4
お届け時期|2024年6月下旬予定

※作品No.はお選びいただけません。
※こちらの作品は、立体作品と平面作品のセットになります。
※平面作品は、立体作品の台座として陳列頂けますが、単体で飾って頂くことも可能です。​​​​​
※作品には、作家本人によるユニークペイントが施されます。
※台座となる平面作品にも、ハンドペインティングによる個体差がございます。

@padatk Charles Chauvet
@padatk Charles Chauvet

作品名|floweroflife.obj no.01-04 [Blue]
価格|698,500円(税込)※箱代、送料込(海外発送は別途お見積り)
素材|アクリル樹脂、ウレタン樹脂、金属線、ウレタン塗料、油絵具
カラー|青(銀座 蔦屋書店展示)
サイズ|23.0×11.7×9.4㎝(立体作品)H33.5×W19.2×D2.0cm(平面作品)
制作年|2024
限定|4
お届け時期|2024年6月下旬予定

※作品No.はお選びいただけません。
※こちらの作品は、立体作品と平面作品のセットになります。
※平面作品は、立体作品の台座として陳列頂けますが、単体で飾って頂くことも可能です。
※作品には、作家本人によるユニークペイントが施されます。
※台座となる平面作品にも、ハンドペインティングによる個体差がございます。

作品名|flower of life no.132
価格|1,061,500円(税込)※箱代、送料込(海外発送は別途お見積り)、額装なし
素材|Resin, Oil, UV print on Canvas
サイズ|91㎝ x 91cm
制作年|2024
Edition|Unique
お届け時期|会期終了後、約3週間内に発送予定

 


中西伶 立体作品《floweroflife.obj》特別インタビュー

 中西伶が初の立体作品《floweroflife.obj》を発表する。シグネチャーのひとつである花をモチーフに、ペインティング作品で培ってきたアナログとデジタルを往来する手法でつくり上げられた立体制作の試みは、自身のこれまでの作品を解読する時間でもあったという。中西の花が持つ生命力と、静謐な力強さを纏う本作について、その制作背景や思いを聞いた。

@padatk Charles Chauvet

同時代のカルチャーから始まる表現

 中西伶は1994年生まれ、今年30歳を迎えるアーティストだ。日本に限らず、現代美術の世界で同世代のアーティストの活躍は目覚ましく、中西もその例外ではない。一般にミレニアル世代と呼ばれるこの世代は、ポストインターネット的な手法・表現を扱い、ソーシャルメディアなどを通じて世界とダイレクトに繋がりながらも、個人のユニークなアイデンティティを尊重し、文化を重んじる。中西も、ニューヨークに渡ってアシスタントを務めたアーティスト・山口歴ゆずりのストリートの精神や、学生時代に学んだグラフィックデザイン、さらにアニメ、マンガ、ネットカルチャーといった多様な文化を縦横無尽に吸収しながら表現を続けてきた。

 「今回の立体作品の制作では、実はガレージキットのカルチャーからたくさんのインスピレーションを受けています。一時期、昔のガレージキットを調べ続けていたんです。購入して造形を研究したり、個人がYouTubeでやっている組み立て方の動画をずっと見たりしていました。造形師が誰かとか塗装は誰かとかもステータスになっていて、みんなすごくこだわりがあって、奥が深くて勉強になりました。それもあって、今回の花のパーツの分け方などはガレージキットのことを考えながら構想していきましたね」。

 大量生産されるプラモデルに対し、個人作家や小規模な範囲で製作され流通するフィギアを指すガレージキットは、よりマニアックな技術と見せ方を競う。中西の一つひとつのカルチャーを突き詰める気性ともマッチしたのだろう。また中西は、代表作《flower of life》(2020〜)に見られるように、花など自然物を起点に絵画を描いてきた。そもそもなぜ花だったのか? 花をモチーフに選んだのは、先輩作家であるHouxo Que(ホウコォ・キュウ)の言葉がきっかけだったと話す。

 「19、20歳くらいの頃にQueさんに会いに行ったんです。当時新宿で個展を開催されていたので、Twitterで突然DMを送って、会ってくださいとお願いしました。Queさんも花を描いているんですが、その時に言ってくれた言葉が『人間が住んでる環境だったら絶対に花は咲くし、人が死ぬとスカル(骸骨)が生まれる。人が昔から見てきたモチーフなんだよ』と。その言葉に衝撃を受けて、アーティストになってから花とスカルはずっと描いていて、自分のシグネチャーのようになっていきました」。

 上京後、作品に惚れ込んで咄嗟に連絡を取ったというHouxo Queとの出会いは中西のアーティストとしてのキーポイントとなった。のちに出会う山口歴とともに、「ストリートカルチャーとアートシーンを巻き込でいる」と称える彼ら先輩アーティストたちは、自身のルーツであり目指すべき目標になった。
 

“現実ではありえない”作品への挑戦

 3年程前から構想しはじめたという本作《floweroflife.obj》。制作に至った一番のきっかけは過去の作品でも中西に併走してきた造形制作のスタジオ「ラッキーワイド」と、数々のアーティストとコラボレーションし3D造形などを得意とする会社「ツジカワ」と巡り合ったことだった。さらに、頭のなかにあるイメージを立体に起こすにあたって、友人で彫刻家の髙橋銑に造形を依頼したのだという。

 「当初から実際の花瓶にも立てられるような、切り花と同じサイズにしようとは決めていました。コレクションしてくれた人によって飾り方に個性が出るような。寝かせてもいいし、きれいに展示しても、リビングなどに気軽に置くこともできる、展示で遊ぶことができるものにしたいと思いました」。

 そういった中西のなかにあるイメージを造形にするにあたり、髙橋とイメージの交換を行ったのだそうだ。

 「銑くんが絶対いいものを出してくるだろうと思っていたので、無茶振りしました(笑)。三面図などかっちりした感じではなくて、僕が好きな彫刻作品の写真を送って『ここのこういう感じ』とか、ドローイングなどで伝えて、そこから想像してもらいました」。

  髙橋から上がってきた立体物に対してコメントを繰り返しながら理想の形へと修正していく工程は、これまで中西が培ってきたデジタルとアナログを駆使した制作技法にも通じる。そうして次の段階では、中西が3Dのソフトを使ってより具体化していく。

 「銑くんにつくってもらった造形物を3Dスキャンしてデータにし、ゼットブラシという3D専用ソフトでデジタルの作業を加えます。普段の制作では、ペイントとプリントでアナログとデジタルを分担しているのですが、今回は銑くんにそのアナログの部分をやってもらって、3Dスキャンで取り込んだデジタルの部分を僕がやっている感覚です。ゼットブラシは以前から少し触っていたのですが、この立体作品をつくるにあたって、あらためて勉強しました。僕が普段デジタルを使うのは、めちゃくちゃなこととか、手ではできない細かいことができるからなんです。手作業では出ないアイディアを引き出し、現実ではありえないことをやりたくて使ってきました。そういうインスピレーションを拾いたくて、銑くんにつくってもらったものをこの中でどうできるかを試しています」。
 

作品をともにつくること、その先に見据えるもの

 中西と髙橋が試行錯誤しながら仕上げた原型を元に、ツジカワが立体作品として実現可能なかたちを見極めながら型をつくり、最低限の数の量産が可能になった。更に、ラッキーワイドが全体の完成度を上げる仕上げの部分を担当する。

@padatk Charles Chauvet

 「人にお願いして制作するというやり方で、どこまで作品に関わってもらうかには常に悩んでいます。でも、銑くんのインスピレーションで何が返ってくるかを楽しんでた面もあったり、関わってくれている人の持っているすごい技術といいところを引き出したいんです。彼らから絶対にいいものが出てくることはわかってるので、委ねたら何が出てくるんだろうということも意識していました」。

 アーティストにとって、自身以外の関わる領域を広げたり、新しい表現技法を採用することはときに、定評のある過去を陳腐化させてしまうかもしれないという恐怖と葛藤を伴う。しかし中西は変化を恐れず、最新技術や興味へも邁進し、いっぽうで自らの作品をつねに冷静に観察しながら挑戦を続けてきた。

 「いままでの自分の平面作品も、立体だとしたらどうだろう、こういう形だったら奥行きはどうなってるだろうと考えながら見ていたところがあります。だから今回は、それをもう一度解読する時間でもありました。今回のようなやり方は初めてだったし、人にまかせるという作業は、楽しい半分、開拓半分という感じでした。先輩のアーティストを見ていると、もっと作品が自分の手から離れたら規模も大きくしていけるんだろうなと思うんですが、僕はもう少し自分のほうに引っ張りながらできるようなバランス感覚が必要だなとあらためて思いました。だからなおさら、信頼できる人と仕事がしたいなと思いましたね」。

 信頼のおけるつくり手を巻き込みながら大規模な作品を構築していくやり方は、中西が飛び込みでアシスタントを志願し、アートを実践で学んだ山口歴、その師匠にあたる松山智一の影響もあるだろう。ニューヨークという多文化の街で修行した中西が見据えるのは我々の想像を超えるスケールの作品であり、それゆえに中西が超えるべき壁はまだまだあるだろうが、初の立体となる本作がその飛躍の新たな一歩となることは間違いない。

 最後に、現在は静岡と東京の2箇所に構えるスタジオを往復しながら制作を続けているという中西に、いま興味のあることを尋ねると意外な答えが返ってきた。

 「最近は古道具をよく買っていて、フィギュアと一緒に並べたりしてます。土器みたいな陶器の横にスラッとした女性のフィギュアを並べるとなぜか凄くハマるんです(笑)。古い神社の杭とか。飾り方が試されるようなものがけっこう好きで、去年あたりからそっちに興味が行っていますね。家でオブジェにオブジェを乗せたり、自分の平面作品を下敷きにしたりして飾っています。制作は、なんでもやりたすぎて困ってるんです(笑)。ギャラリーで展示販売する作品とは別に、いままで出会った友達の顔を全員描きたいなとか、デジタルを使わないペイントだけの作品もやってみたいなとか。やりたいことがありすぎるから、その辺をいまどうするか考えてますね」。

(聞き手・構成=林里佐子)

編集部

Artist Profile

中西伶 / Rei Nakanishi

1994年 三重県生まれ。2016年に渡米し、山口歴のアシスタントとして作品制作に携わる。2019年に帰国後、GOLD WOOD ART WORKSに所属。
静岡県を拠点に、国内外にて展示発表を続ける。従来の絵画の制作方法にプリンティングを組み合わせたアプローチで作品を制作する。近作では、グラフィックのほか、3Dモデリング、AI、NFTなどの技術を掛け合わせながら時代の動きによって変化し続ける価値について問い、制作を通して表現の本質を模索している。

主な個展に「DUALISM」(+81 Gallery Kyoto、京都、2021)、「TREE OF LIFE」( DIESEL ART GALLERY、東京、2022)、「街への距離、画家の記憶」( OIL by 美術手帖ギャラリー、東京、2023)など。グループ展に、「pop&street -AN ANNUAL-」(西武渋谷、東京、2021)、「ART Taipei 2023」(DOPNESS ART LAB、台北、2023)。LOUIS VUITTON 池袋店にコレクションとして収蔵。

Information

中西伶 新作展「floweroflife.obj」

会期:2024年2⽉17⽇(土)〜3⽉15⽇(金)
 

会場:銀座 蔦屋書店 スターバックス前
住所:東京都中央区銀座6丁目10−1 SIX6階
電話番号:03-3575-7755(営業時間内) 
開館時間:10時30分~21時00分 ※最終日は17時まで
休館日:2月26日(月)は全館休業予定です。
料金:無料

 

会場:京都 蔦屋書店 アートストリート
住所:京都府京都市下京区四条通寺町東入二丁目御旅町35 京都髙島屋S.C.[T8]5・6階
電話番号:03-3575-7755(営業時間内) 
開館時間:10時00分~20時00分 ※最終日は17時まで
休館日:2月20日(火)は全館休業予定です。
料金:無料