大山エンリコイサムは、ストリートアートの⼀領域であるエアロゾル・ライティング(※)のヴィジュアルを再解釈した表現により、注目を集めるアーティストです。1970年代のニューヨークで始まったライティング文化に影響され、その特有の線の動きを抽出し、再構成することで生み出された独自のモティーフ「クイックターン・ストラクチャー」(QTS)を国内外で発表。作品制作と並行し、これまでに『ストリートアートの素顔』(⻘土社、2020年)ほか複数の著作を刊行。現代美術とストリートアートを行き来する研究や批評にも取り組んでいます。また、コム デ ギャルソン、シュウ ウエムラ、JINS、アウディなどの企業やブランドとのコラボレーション、横綱照ノ富士の「三つ揃え化粧廻し」へのアートワーク提供などが、話題となりました。近年では、MEET YOUR ART FAIR 2023「RE:FACTORY」のメインアーティスト/アーティスティック・ディレクターを務め、現代美術の領域を中心に活動の幅を広げています。
※NYのストリート文化から発展した、自分の名前をアートとして描画する表現文化。
今回の展示では、かたちが同じでも大きさが違うと物体の特徴が変化する「寸法効果(scale effect)」の概念に着目し、拡大と縮小を通してQTSを表現、再解釈しています。OIL by 美術手帖オンラインでは、同展にあわせて制作されたブックエンド型のマルチプル作品《FFIGURATI #629》のオンラインエントリーを行います。2024年1月にNADiff Galleryで行われた個展で発表されたブックエンド型の彫刻作品《FFIGURATI #611》は、ステンレス、コンクリートなどで構成されていましたが、《FFIGURATI #629》は同じ形の作品がカリモク家具株式会社の職人の方々の高い技術力のもと、素材を木に変えて制作されています。4月18日(木)14時より下記のエントリーフォームより、お申し込みを受付いたします。
■《FFIGURATI #629》について ー作家のことば
本展「Scale / Effect」では、同じかたちの物体がサイズの変更により、その物理的におもとなる特徴を変えることをテーマとし、作品を展開した。それを縦軸の展開とすれば、同じかたちの物体がサイズを変えず、みずからを組成する素材のみを変えるのは言わば横軸の展開である。1月の個展で発表したブックエンド型の彫刻作品《FFIGURATI #611》の素材を、無機質なステンレスやコンクリートから、温もりのある木に置き換えた新作《FFIGURATI #629》はそれに該当する。サイズの変更というテーマからはみ出る本作は、展覧会の拡張として、会場前の本棚に展示された。
素材の変更はしかし、制作技法の変更でもある。先行作品として《#611》とその3Dデータがあったにもかかわらず、《#629》はゼロからの新たなチャレンジだった。金属やコンクリートと木では性質がまったく異なる。工場で技術者と面会し、ウォルナット、オーク、メープル、チェリー、サペリ、イロコ、パドゥークなど、さまざまな色味や硬度、重量の木材で組み合わせを吟味し、ヴィジュアル、組成、工法を検討した。素材という一要素の変更が物体のおもとなる特徴を変える点で、本作《#629》もまた「Scale / Effect」のテーマから生み出されている。
(大山エンリコイサム)
FFIGURATI #629 (oak, maple)
QTS:胡桃
胴体上:楢
胴体下:楓
ボルト:イロコ
FFIGURATI #629 (sapelli, cherry)
QTS:胡桃
胴体上:サペリ
胴体下:桜
ボルト:パドゥーク
作品|FFIGURATI #629 (oak, maple) / (sapelli, cherry)
作家|⼤⼭エンリコイサム
価格|530,000円(税込、箱代別)※送料は着払いになります。
素材|木
サイズ|約37.5 × 25.5 × 34.0cm
制作年|2024
限定| 30 (エディションナンバー入り)、作品証明書付き
協力|カリモク家具株式会社
配送時期|2024年8月末
HOW TO ENTRY
《FFIGURATI #629》オンラインエントリー
<オンラインエントリー申し込み期間>
2024年4月18日(木) 14:00~2024年5月1日(水) 20:00
※申し込み期間は終了しました※
※受付終了日は、会期終了日とは異なりますのでご注意ください。
※作品内容は予告なく変更になる場合がございます。
※その他詳細はエントリー申込ページをご確認ください。
Artist Profile
⼤⼭エンリコイサム
美術家。ストリートアートの⼀領域であるエアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈したモティーフ「クイックターン・ストラクチャー」を起点にメディアを横断する表現を展開。イタリア⼈の⽗と⽇本⼈の⺟のもと、1983年に東京で⽣まれ、同地に育つ。2007年に慶應義塾⼤学卒業、2009年に東京藝術⼤学⼤学院修了。2011-12年にアジアン・カルチュラル・カウンシルの招聘でニューヨークに滞在以降、ブルックリンにスタジオを構えて制作。2020年には東京にもスタジオを開設し、現在は⼆都市で制作を⾏う。
Information
⼤⼭エンリコイサム|Scale / Effect
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