ジェロン・ブラクストンは、アニメーションを中心に独自の世界観やキャラクターを生み出すアメリカ出身のアーティストです。ブラクストンの作品は、ブラックカルチャーや社会正義といった現代の問題を扱い、唯一無二のビジュアルスタイルと挑戦的なテーマで知られており、トップクリエイターやブランドとコラボレーションするなど商業的にも成功を収めています。
開催中の個展「DOPAMINE」では、ブラクストンが生み出したキャラクター、「Oxycotton Tail(オキシーコットンテイル)」が多く登場します。そのノスタルジックな90~00年代のビデオゲームを彷彿させるキャッチーな見た目に反して、若者のメンタルヘルスや、依存症、消費主義の構造を象徴しています。
本展では、ケシの花と「Oxycotton Tail」の顔が描かれた新作のシルクスクリーンプリント作品を象徴的に展示。これらの作品は、消費主義が個人に与える影響や、無限の欲望と追求のサイクルを示唆します。アンディ・ウォーホルをはじめとするポップアートの手法の影響を感じさせるブラクストンのアプローチは、視覚的なインパクトと再現性を強調し、大量生産と消費の本質を反映しています。
ブラクストンにとって日本初の個展であり、とくに若者文化の発信地である原宿で開催されることに大きな意義がある本展。ペインティング、プリント、ビデオ、スカルプチャーと様々なメディウムのなかを飛び跳ねる「Oxycotton Tail」とともに、消費主義や社会の構造について再考する本展出品作群をぜひオンラインでもお楽しみください。
《Poppy 10》(2024)
《Oxycotton Tail》(2024)
《Red White and Blue》(2024)
GASBOOK
Gas As Interface Co., Ltd.が出版するメディア・書籍としてのGASBOOKを中心に、幅広い分野のアートブック、アートプロダクトを紹介。東京・西麻布のCALM & PUNK GALLERY、山梨・北杜市に位置するアート複合施設GASBON METABOLISMのディレクターが選出した現代アート作品も取り扱っている。 GASBOOKは、世界のクリエイティビティを紹介すべく、新しいアートとデザインのアイデアを世界中から集める媒体として1996年に誕生。刊行から今もなお、時代を超えて各分野のリファレンスであり、先駆者として活躍する世界中のアーティストを紹介するプラットフォームとして生き続けている。
Artist Profile
ジェロン・ブラクストン
ロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト兼アニメーター。作品は、ブラックカルチャー、消費主義、精神的健康、社会的正義など、現代の多くの問題を扱い、2000年代初頭のビデオゲームへのノスタルジックかつユニークで挑戦的なビジュアルスタイルで知られている。22年、ヴァージル・アブローが手がけたルイ・ヴィトン SS22キャンペーンアニメーションを担当。また、The WeekndやPusha TのMVも手がけている。18年、サンダンス映画祭で短編アニメーション賞を受賞。近年では、「注目アニメーター10人 2023」に選出されている。主な個展に「Ouroboros」(UTA Artist Space、ロサンゼルス、2023)など。
Information
ジェロン・ブラクストン個展「DOPAMINE」
会期:2024年6月8日~23日 |