自由な絵画が解放するもの
画家・小林正人の作品に出合ったとき、まず頭に思い浮かぶのは「自由」という言葉です。
《Unnamed #59》SOLD OUT
価格:SOLD OUT
キャンバスが「四角い」ものであるという概念が覆される、《Unnamed》シリーズ。木枠にキャンバスを張りながら同時に描き進めていくという、小林独自の制作方法によって生み出された作品は、孤立した”物体”ではなく、彼の創作行為そのものや、作品を取り巻く空間を内包した”存在”として、私たちの心を揺さぶります。
《この星のモデル #38》
価格:320,000円(税抜)
「ひどい絵、美しい絵、これらはみな絵の具の星の家族」。《この星のモデル》シリーズは、キャンバスに直接手で描く、という即興的な行為の痕跡をとどめながら、たくさんの色を纏い、モデル達がそれぞれに放つ輝きを表現した作品です。
小林の作品が、日々の風景の中に存在していたら、どんな毎日をおくることができるのでしょうか? キャンバスは四角いものである、絵画は筆で描くものである……小林の作品から感じる「自由」は、同時に鑑賞者である私たちの思考を「自由」にしてくれるものでもあります。小林正人は、自由で開放された「絵画の」あり方だけではなく、絵画に対する「私たちの」あり方も、作品を通して表現しているのかもしれません。
展覧会で作品を観たときに感じる、小林の絵画への姿勢、放たれるエネルギー。私たちの日常に新しい彩りを加えてくれるであろう作品を、ぜひご覧ください。
本から触れる、小林正人の芸術
作品とあわせて、文章や写真から、小林の芸術を知ることも。
『この星の絵の具[上]一橋大学の木の下で』
価格:1,500円(税抜)
小林による自伝的小説3部作『この星の絵の具』の上巻。小林が絵を初めて描くきっかけとなった「せんせい」との出会い、85年の初めての個展、東京・国立のアトリエでの制作の日々が小林独自の瑞々しい文体によって綴られた、小林の「青春」を知ることができる1冊です。
価格:3,000円(税抜)
1991年に佐谷画廊で開催された展覧会「空戰」に際して刊行された展覧会カタログ。作品図版および南嶌宏によるテキストを収録した、貴重な1冊です。
シュウゴアーツで新作を
6月1日からは、小林にとっておよそ3年ぶりとなる個展「画家とモデル」が東京・六本木のシュウゴアーツにてスタート。同展では、小林が2017年から制作を始めた新作の発表が予定されており、今、小林が「この星に捧げる」絵に出合うことができます。
小林と、ギャラリストとして小林をサポートし続けてきたシュウゴアーツ代表・佐谷周吾の対談もぜひ合わせてご覧ください。
→小林正人✕佐谷周吾対談記事はこちら
Artist Profile
小林正人(こばやし・まさと)
1957年東京都生まれ。東京藝術大学美術学部油画専攻卒業。第22回サンパウロビエンナーレ(1996)日本代表。97年に現代美術のキュレーター、ヤン・フートの招きによりベルギー・ゲントを拠点に各地で制作を行った後、2006年に帰国。広島県福山市を拠点に活動を続ける。自由で開放された絵画のあり方を追求し、「木枠をつくる」「キャンバスを張る」「描く」などの行為を並行する手法を取る。または直接手で描くなどの様々な手法で作品を手がけてきた。主な個展に「小林正人展」(宮城県美術館、2000)、「A Son of Painting」(S.M.A.K、ゲント、2001)、「STARRY PAINT」(テンスタコンストハーレ、スウェーデン、2004年)。これまで参加した展覧会に「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう vol.9 小林正人+杉戸洋」(gallery αM、東京、2013)、「三沢厚彦 アニマルハウス:謎の館」(渋谷区立松濤美術館、2017)など。現在、東京藝術大学教授。
EVENT
⼩林正⼈「画家とモデル」
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会期:2019年6⽉1⽇〜7⽉6日
会場:シュウゴアーツ
住所:東京都港区六本⽊6-5-24 complex665 2F
電話番号:03-6447-2234
開館時間:11:00〜19:00
休館日:日、月、祝