島根県の山間部で長年農業に従事しながら絵画制作を続けてきた池田一憲の個展を開催します。展覧会タイトルの《虚空蔵菩薩への祈り》は、本展で初めて展示される、池田が長年かけて描いてきた油彩の題名でもあります。

池田は、島根県那賀郡旭町に昭和十七年に生まれました。国鉄広島第一機関区に入社した頃から独学で油彩を描き始めます。その後、実家の田んぼを受け継ぎ農業をしながら絵を描いていきます。その作品には、農夫として生活をする池田の目を通した山里の風景と人間、地方の歴史と民間伝承、仏教世界が自由自在に織り込まれています。

哲学者の梅原猛は昭和四十年、調査で訪れた島根県旭町の町役場にかかっていた絵を見て言いようのない衝撃を受けます。それは、池田が十九歳のときに描いた油彩《ふるさとを守る人》という絵でした。

「あの石見の町で見た絵ほど私の魂に強い感動を与える絵が、私の一生涯に現れるかどうか、疑問に思うのである」と後年梅原は述懐しました。その後池田は梅原によって画壇に紹介され、東京の青木画廊で個展を開催。美術評論家の末永照和は、昭和五十年の美術手帖で「きびしい自然、農民の生きざま、民話と地獄図と怪異幻想のイメージを、緻密きわまる描写と、とざされた遠近法によって追いつめてきた」と池田の絵画を評しました。同じ頃、画商で作家の洲之内徹は、島根の山間部の匹見まで池田を訪ねて行き、そこで「とほうもない人物」に会ったときの体験を芸術新潮に連載の「気まぐれ美術館」に執筆しました。

池田自身は画壇の喧噪とは離れたところに身を置き、自身の主題を抱え、画布に向かう日々を今も続けています。

本作は梅原猛による「存在の根の声を聞け。人類の歴史は1945年、昭和20年8月6日午前8時15分で止まっている」という言葉を、自身の過去作品を見つめ直し、80代にして新たな展開を試みた作品です。

 

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池田一憲

虚空蔵菩薩への祈り

2019 - 2024

¥ ASK

島根県の山間部で長年農業に従事しながら絵画制作を続けてきた池田一憲の個展を開催します。展覧会タイトルの《虚空蔵菩薩への祈り》は、本展で初めて展示される、池田が長年かけて描いてきた油彩の題名でもあります。

池田は、島根県那賀郡旭町に昭和十七年に生まれました。国鉄広島第一機関区に入社した頃から独学で油彩を描き始めます。その後、実家の田んぼを受け継ぎ農業をしながら絵を描いていきます。その作品には、農夫として生活をする池田の目を通した山里の風景と人間、地方の歴史と民間伝承、仏教世界が自由自在に織り込まれています。

哲学者の梅原猛は昭和四十年、調査で訪れた島根県旭町の町役場にかかっていた絵を見て言いようのない衝撃を受けます。それは、池田が十九歳のときに描いた油彩《ふるさとを守る人》という絵でした。

「あの石見の町で見た絵ほど私の魂に強い感動を与える絵が、私の一生涯に現れるかどうか、疑問に思うのである」と後年梅原は述懐しました。その後池田は梅原によって画壇に紹介され、東京の青木画廊で個展を開催。美術評論家の末永照和は、昭和五十年の美術手帖で「きびしい自然、農民の生きざま、民話と地獄図と怪異幻想のイメージを、緻密きわまる描写と、とざされた遠近法によって追いつめてきた」と池田の絵画を評しました。同じ頃、画商で作家の洲之内徹は、島根の山間部の匹見まで池田を訪ねて行き、そこで「とほうもない人物」に会ったときの体験を芸術新潮に連載の「気まぐれ美術館」に執筆しました。

池田自身は画壇の喧噪とは離れたところに身を置き、自身の主題を抱え、画布に向かう日々を今も続けています。

本作は梅原猛による「存在の根の声を聞け。人類の歴史は1945年、昭和20年8月6日午前8時15分で止まっている」という言葉を、自身の過去作品を見つめ直し、80代にして新たな展開を試みた作品です。

 

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取り扱い MEM
サイズ 116.7 x 91.0 x cm
素材 キャンバスに油彩
商品コード 1100037900
配送までの期間 展覧会終了後に箱を制作してお渡しします。
額装希望の方は、ご相談ください。
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