OIL by 美術手帖ギャラリーで開催のA2Z™「NEO UNIVERSE®」展（2021/5/27～6/13）出品作品。

本展のために制作された最新シリーズ「Sympathetic nerve & Parasympathetic nerve」のうちの1点。 タイトルは自律神経の「交感神経と副交感神経」であり、2種類のラインがそれぞれの神経を、背景はコロナ禍の現在とその先の未来を表している。 作家自身が日々意識しているという、身体や精神への神経の影響のあり方を表現した作品。自身の神経をカルマのように捉え、印刷の最小単位であるドット分解、最新技術の立体的なUVプリントによって、アナログな身体性とデジタルのテクノロジーが融合した作品をつくり出している。

＜作家より本作へのコメント＞

シリーズ「Pineal gland」#01-#02と対の意味を表します。表面にある白で表現された交感神経・副交感神経のバランスが崩れながらも、作家自身が社会に抗っている様子を表します。背景の分割は二律背反・二項対立の意見を意味し、右側の絵が過去、左側の絵が未来を表しています。

それらを行き来する白の神経回路が新しい自己の小宇宙をつくっていき、過去の自己宇宙を捨てて見えない未来に対して傷を負いながらも立ち向かっていく様子を描いています。

また、フランク・ステラのような1960年代のシェイプドキャンバスを彷彿とさせる体積を帯びた視覚的なイリュージョンは、コンピュータの二進法=1bitを意味し、デジタルインフォメーション・SNSなどによって現実の行動が変わってしまうネット依存の風刺として表現され、メディアコントロールされるものではなく、元来の己で現実を見る「ものさし」と、オンスクリーンで見る「ものさし」、両面を見た上で、コロナ禍でも本質を見失わないようにする自戒をこめた意思表示でもあります。