フランス人アーティスト、ティアン・ドアン・ナ・チャンパサック（Tiane Doan Na Champassak）の作品集。この砂だらけの本は、読もうとした者の手の中で文字通り崩れていくだろう。本書刊行当時は2020年の完成が予定され、実際には2022年に公開された、1970年から半世紀以上にわたって制作が続けられてきたアメリカ人アーティスト、マイケル・ハイザー（Michael Heizer）の同名プロジェクト「CITY」。本書は、ハイザーの作品に対し、オルタナティヴ（代替的）な読み方を提示する、流用（アプロプリエーション）と変奏（バリエーション）によるパラ写真的な実験である。「グーグル・アース（Google Earth）」を使ってデジタル採掘のような行為をし、衛星画像から41の謎めいた形を「発掘」する。はるか遠いナスカの線の響きのようである。この一冊によって、ハイザーの美しく巨大な作品は、洗練された原型的な形のコレクションへと還元されるのである。

※触ると砂が落ち、また輸送中も多少砂が落ちる仕様となっております。あらかじめご了承ください。