デイヴィッド・ホックニー
David Hockney
デイヴィッド・ホックニーは1937年、イギリス・ブラッドフォード生まれの画家。ロンドンの王立美術学校在学中よりその才能で注目され、61年にイギリスのポップ・アート第2世代の台頭を示した「ヤング・コンテンポラリーズ」展に、ピーター・ブレイクらとともに出展。王立美術学校では、イギリスのポップ・アート運動の中核をなすR・B・キタイなどの同期と学ぶ。卒業後の63年、ジカスミン画廊で初個展を開催。ポップ・アーティストのひとりに数えられるが、初期の作品はフランシス・ベーコンの影響が見られる暗い色調が特徴だった。
63年よりアメリカ・ロサンゼルスを拠点に活動。陽光に照らされた明るい作風に移行し、《ビバリーヒルズでシャワーを浴びる男》(1964)や《大きな水しぶき》(1967)など、スイミングプールやシャワールームでの日常風景、親しい人々、私的な出来事を主題に描く。画材には当時新しかったアクリル絵具を用い、アメリカで時代の潮流が抽象画にあるなか、一貫して具像画に取り組む。
また舞台美術も手がけ、77〜78年にはイギリスのグラインドボーンで上演された『魔笛』のステージデザインと衣装を担当。絵画と並行して制作する版画ではファックスやカラーコピーを用い、80年代には、被写体を多角度から撮影した写真をコラージュした《母Ⅰ、ヨークシャ・ムアズ、1985年8月#1》(1985)で、新たな表現を提示した。2010年のiPad発売時より、いち早くドローイングツールとして使用。18年、iPadでデザインしたステンドグラス《女王の窓》がウェストミンスター寺院に設置された。代表作のひとつ《芸術家の肖像画―プールと2人の人物―》(1972)は、現存作家で最高額の約103億円で落札された(2019年5月現在)。