ベルギー人詩人であり映像作家、コンセプチュアルアーティストのマルセル・ブロータス（Marcel Broodthaers）による作品集。作者は19世紀の詩人、シャルル・ボードレール（Charles Baudelaire）の創造性とナルシシズムの思想を映画の時代にアップデートした作品「シャルル・ボードレールの思想による永遠の一秒（Une Seconde d'Éternité d'après une idée de Charles Baudelaire / A Second of Eternity According to an Idea of Charles Baudelaire）」を含む数本の映画を制作した。24コマ（1秒に1コマ）のフィルムに自分のサインの筆跡をなぞり、イメージを変えたり操作したりするたびにカメラのシャッターを切り、アニメーションを用いてこの映像作品を制作した。通常、サインは作品の完成度や信頼性を保証するものであるが、ここではサインが添えられるはずの作品の不在がサインを際立たせており、作者はサインの持つ意味を軽快に扱っている。パラパラ漫画のような形式で作られた本作は、高く評価されてきた映画作品の連れ添いのような存在であり、解釈でもある。