人類の居住の始まりとデザインの「誕生」に言及し、空間的構造における文化的、社会的、経済的、政治的な基盤について考察を促す作品集。2024年11月から2025年3月までベルギーの「CIVA」で開催された展覧会に伴い刊行された。

「建築（architecture）」のない世界を想像してみよう。それは「arche」のない「tecture」の世界であり、「arche」は単に始まりや起源、原始を意味するだけではなく、人、物、過程を識別できる権力構造に落とし込み、従わせる権威でもある。「プレ・アーキテクチャー」は単に「建築ではない」という意味ではなく、建築がなり得たかもしれないが、最終的に否定されてしまったものである。同じように実現しなかったものが孕んでいた「可能性」は、遠い過去においてだけでなく、環境危機、エネルギー転換、それに関連する社会的課題に直面する現在の建築の不安定さにも影を落としてつきまとう。展覧会および本書は、人間の住まいの始まりに言及し、建築家、アーティスト、社会学者、考古学者など、様々な分野の研究者に焦点を当てている。デザインの「誕生」について考察し、空間構成における文化的、社会的、経済的、政治的な基盤を問い直している。

参加アーティスト：Kader Attia, Mariana Castillo Deball, Forensic Architecture, Jacques Gillet, Hans Hollein, Frederick Kiesler, Gianni Pettena, Ettore Sottsass, Pelin Tan, Paulo Tavares/ autônoma, Anton Vidokle, David Wengrow