ノルウェー人アーティスト、ガーダー・アイダ・アイナーソン(Gardar Eide Einarsson)の作品集。

本書は、毎年感謝祭(サンクスギビング)を前にアメリカ合衆国大統領が行う「七面鳥恩赦式」という、特異な政治的儀礼を検証する。七面鳥恩赦式とは、大統領が1羽(近年は予備を含め複数とされる)の七面鳥に象徴的な「恩赦」を与え、屠殺から免除することを公に宣言する行事である。ホワイトハウスで報道陣を前に、ユーモアを交えた演出とともに行われてきたこの儀礼は、長らく無害な季節行事、あるいは軽い娯楽として受け取られてきた。しかしその背後には、より暗く根源的な論理が潜んでいる。すなわち、主権権力が「誰が生き、誰が死ぬか」を決定しうるという能力そのものを戯画化した、グロテスクなパロディとしての側面である。

ジョルジョ・アガンベン(Giorgio Agamben)、アレンカ・ズパンチッチ(Alenka Zupančič)、カール・シュミット(Carl Schmitt)、ジークムント・フロイト(Sigmund Freud)、ミシェル・フーコー(Michel Foucault)らの思想を参照しながら、本書は、七面鳥恩赦式が国家の側にある「人間性の境界を定義しようとする欲望」を、いかに演劇的に可視化しているかを明らかにする。このカーニバル的な反転のなかで、七面鳥は「剥き出しの生(bare life)」の位置から引き上げられ、法の象徴的な庇護のもとへと迎え入れられる。その一方で、他の無数の生は、何の儀礼も与えられないまま排除され、断罪され続けている。写真の集積は、こうした不条理な儀礼に対して、静かで持続的な対位を成している。

本書は、暴力を祝祭的なスペクタクルの背後に隠しながら行使される国家権力のまわりに生じる、居心地の悪い笑いを浮かび上がらせる。ミニマルで、ほとんどドキュメンタリーに近い構成を通して、決定、権威、慈悲という主題、そして自らの権力を行使しつつ、それを冗談として語ってみせる現代の主権者が演じる、不穏な演劇性について思考を深めていく。

MORE

PARDON ME

2025

¥ 8,250 (税込)

ノルウェー人アーティスト、ガーダー・アイダ・アイナーソン(Gardar Eide Einarsson)の作品集。

本書は、毎年感謝祭(サンクスギビング)を前にアメリカ合衆国大統領が行う「七面鳥恩赦式」という、特異な政治的儀礼を検証する。七面鳥恩赦式とは、大統領が1羽(近年は予備を含め複数とされる)の七面鳥に象徴的な「恩赦」を与え、屠殺から免除することを公に宣言する行事である。ホワイトハウスで報道陣を前に、ユーモアを交えた演出とともに行われてきたこの儀礼は、長らく無害な季節行事、あるいは軽い娯楽として受け取られてきた。しかしその背後には、より暗く根源的な論理が潜んでいる。すなわち、主権権力が「誰が生き、誰が死ぬか」を決定しうるという能力そのものを戯画化した、グロテスクなパロディとしての側面である。

ジョルジョ・アガンベン(Giorgio Agamben)、アレンカ・ズパンチッチ(Alenka Zupančič)、カール・シュミット(Carl Schmitt)、ジークムント・フロイト(Sigmund Freud)、ミシェル・フーコー(Michel Foucault)らの思想を参照しながら、本書は、七面鳥恩赦式が国家の側にある「人間性の境界を定義しようとする欲望」を、いかに演劇的に可視化しているかを明らかにする。このカーニバル的な反転のなかで、七面鳥は「剥き出しの生(bare life)」の位置から引き上げられ、法の象徴的な庇護のもとへと迎え入れられる。その一方で、他の無数の生は、何の儀礼も与えられないまま排除され、断罪され続けている。写真の集積は、こうした不条理な儀礼に対して、静かで持続的な対位を成している。

本書は、暴力を祝祭的なスペクタクルの背後に隠しながら行使される国家権力のまわりに生じる、居心地の悪い笑いを浮かび上がらせる。ミニマルで、ほとんどドキュメンタリーに近い構成を通して、決定、権威、慈悲という主題、そして自らの権力を行使しつつ、それを冗談として語ってみせる現代の主権者が演じる、不穏な演劇性について思考を深めていく。

MORE

取り扱い twelvebooks
サイズ 20.0 x 15.0 x cm
重量 1.0kg
商品コード 1100050989
出版 AT LAST BOOKS
著者 Gardar Eide Einarsson
ISBN 9788785336071
配送までの期間 ご注文確定後、2-7日以内
カテゴリー
送料 ¥770(税込)
購入条件